裏銀座縦走(高瀬ダム~新穂高温泉)-3日目

PALOMON

2018年07月16日 13:01


日程:2018年07月14日~16日(2泊3日)
天候:晴→晴→晴 →→

▲鷲羽岳(わしばだけ)
 標高:2,924m
 (富山県・長野県)
 日本百名山
 
▲三俣蓮華岳(みつまたれんげだけ)
 標高:2,841m
 (岐阜県・長野県・富山県)
 日本三百名山

▲双六岳(すごろくだけ)
 標高:2,860m
 (岐阜県・長野県)
 花の百名山

<ルート>
 1日目:◎高瀬ダム ~ 烏帽子小屋 ~ ▲烏帽子岳 ~ 烏帽子小屋
 2日目:烏帽子小屋 ~ 三ツ岳 ~ 野口五郎小屋 ~ ▲野口五郎岳 ~ 水晶小屋 ~ ▲水晶岳 ~ 水晶小屋 ~ ▲鷲羽岳 ~ 三俣山荘
 3日目:三俣山荘 ~ ▲三俣蓮華岳 ~ ▲双六岳 ~ 双六小屋 ~ 鏡平山荘 ~ わさび平小屋 ~ ◎新穂高温泉


<1日目><2日目前半><2日目後半の記事はこちら>


いよいよ3日目。
今日が最終日になる。
下りは暑さとの戦いも...
起床は2時30分、出発は4時30分を予定している。
順調に行けば13時頃には(9時間)新穂高温泉へ下山できるだろう。
外は真っ暗だがテン場の登山者は動き出していた。
そして鷲羽岳斜面にもヘッドライトの明かりがポツポツと見える。
鷲羽岳山頂からご来光を眺める目的だろうか。



準備はいつも通り順調。
トイレは三俣山荘の中のトイレを利用する。
テン場へ戻る途中、水場で飲み水を多めに確保する。
朝食を終えてテントの撤収にかかった。

雨は全く降らなかったがテントはびっしょりと濡れている。(昨日は結露が無かったが)
最終日なので軽く掃って結露を飛ばした程度にザックへ収納した。
全てのモノをザックへ収納し、それを背負うがやっぱり重みで肩が痛い...

今日はゴールの新穂高温泉へと下るわけだが、せっかくなので三俣蓮華岳と双六岳のピークを踏むことにする。
道中の楽しみといえば鏡平山荘で名物のかき氷を食べることだな。




▲04:35 三俣山荘出発
登山道はテン場から上への登りになる。
出発して間もなく鷲羽岳の右肩より陽が昇る。
そして向かいに聳える三俣蓮華岳も朝陽に染まった。




▲05:15 三俣峠
三俣蓮華岳の山頂手前に分岐点(三俣峠)があり。
そこからピークを経由しない巻道が双六岳まで通じている。
この巻道を使えば結構楽に双六山荘へ行けることだろう。
(一般的なサイトでの参考コースタイムは巻道で2時間30分、三俣・双六経由で3時間。)

<巻道方面>


山頂直下は斜度がある岩場となりやや険しい道だった。
その付近より遠方に笠ヶ岳が見えてきた。




▲05:25 三俣蓮華岳
まずは3日目最初のピーク、三俣蓮華岳(標高2,841m)へ登頂。




山頂からは黒部五郎岳の大きなカールが間近に見える。



テン場からは1時間程度で登ってきた。
休憩をとる必要もなく次なるピーク、双六岳へ向かった。



三俣蓮華岳から双六岳までは1時間程かかった。
尾根上の道は風も吹き景色も良いので歩いていて気持ちが良い。



左手には槍ヶ岳、右手遠方には白山まで眺めることが出来た。

今日は北アルプスの最終日だが、なんか平地に帰りたくなくなるな...

<槍ヶ岳方面>


<遠方に白山>


<チングルマ>



双六岳まであと少し。
中道稜線分岐という標識があった。
そこから双六岳の山頂へ向かうが比較的歩きやすい登山道で疲労感は少なかった。
斜面にはコバイケイソウの群落が続いていたな。



双六岳の東側斜面にはまだまだ雪渓が多く残っている。(登山道には無いが)
後ろを振り返ると昨日経由してきた鷲羽岳や水晶岳までが良く見えていた。
西の方面には未踏の薬師岳も良く見えている。そのうち登りたいところだ。




▲06:35 双六岳
いつもながら少々やす氏に遅れて双六岳山頂に到着した。

三俣山荘のテン場から約2時間、6時半過ぎの登頂となった。
その頃、双六岳の山頂には10名くらいの登山者が登頂しており360度の大展望を楽しんでいる様だった。
朝の風はまだ冷たく気持ちが良かった。





空には雲が多く沸いていたが視界は今日も抜群に良い。
この3日間天候には恵まれた訳だ。(暑さは除いて)

今日はそんなにのんびりとは出来なかった。
軽く行動食を食べて次へと進む。

双六岳山頂から双六山荘への直登ルートを進む。
槍ヶ岳を真正面に歩く非常に素晴らしい道である。




この道をある程度進むと急な下りへ変わる。
ここはまだ雪渓が多いため注意が必要とのことだった。




下るに連れて双六山荘の屋根が見えてきた。
何名収容できるのだろうか?とても大きな山小屋だった。





▲07:35 双六山荘
小屋前の広場へ到着すると水場(水道)が設置されていた。
双六山荘も三俣山荘と同様で水が豊富な地とのことだ。
ここで有難く水を補充させて頂いた。

出発から3時間近くが経過していた。
コースタイム通りではあるが小屋内には立ち寄ることなく先を急いだ。



小屋の反対側がテン場になっていた。
いつ来ても(遅い時間に到着しても)余裕で設営できるであろう非常に広いテン場だ。
大きな池(双六池)とその正面に聳える笠ヶ岳のロケーションも素晴らしい。



テン場を横目に通過していく。
登山道沿いにはチングルマやイワカガミ、コバイケイソウなどが綺麗に咲いていた。




平坦な木道を進むうちに再び登山道は登りになる。
この辺りが今回の縦走行程で最後の登りとなるんだな。

双六山荘から新穂高温泉へ通ずる登山道は小池新道という名前の様だ。
小池新道に入るや否や、これまでと違った暑さと感じる。
急な気温の上昇を感じた。風もないせいか...
特に地面から反射する熱が暑く感じられた。

その先の下方に小屋(鏡平山荘)が見えてきた。
暑い中、早くあそこまで行きたかった。
名物のかき氷が食べれるからだ。




▲08:45 弓折乗越
昨日からずっと眺めてきた槍ヶ岳もここで見納めか...
槍ヶ岳へはまた登ることにしよう。

鏡平山荘までの急な下りに入る。
更に暑さが増してきて重いザックに体力も著しく消耗する。
この辺りでは「かき氷」のことだけを考えて下山していた。




▲09:20 鏡平小屋
鏡平山荘に到着。
ザックを下したら直ぐに売店へ向かう。




かき氷は、いちご、メロン、みぞれ、レモン、宇治金時と5種類の品揃え。
練乳掛け(+100円)も可能だった。
なんと、氷は松本の氷屋さんからヘリコプターで空輸していたとは...知らなかった。




評判通り、氷がふわふわで美味いかき氷だ。
ホント、生き返るな。
下から登って来てかき氷を食べたらここで下山するという方もいらした。

他にも売店でネクターと伊右衛門茶を購入する。
ネクターはここで一気に飲み、伊右衛門茶は行動用にする。
鏡平山荘の売店の飲み物はとても冷えていてとても有難かった。





下山前に鏡池にて「逆さ槍」を撮影しようとするも、なんか上手くいかない。
逆さ槍は諦める...



鏡池の標高は2282mと標識に記載があった。
まだまだ標高は高いが、かなり暑い。これは猛暑だ...
我々は下りなのでまだいい方だろう。
しかし小池新道を登って来る方は熱中症とか大丈夫なのだろうか?
日影に倒れるようにぐったりと寝転んでいる方もいらした。



小池新道を下っていくと登山道のそばに沢が流れている箇所がある。
この沢水を躊躇せず飲む。
ここは水場ということで間違いなかった。非常に冷たい沢水だ。



更に下っていくが自分はエネルギー切れの症状。
元気なやす氏を先に進ませ、自分は日影を選んで休憩をとることにした。
ザックから行動食を取り出して独り食べた。
やす氏は先にわさび平小屋まで進み、そこで名物のそうめんで休憩をとるとのこと。


▲11:55 小池新道入口
休憩したポイントから僅かに下った辺りで登山道は平坦となる。
小さな沢を通過していくと、その先はわさび平へ続く林道になっていた。



林道はなるべく日影を選んで20分ほど進み、自分もわさび平小屋へ到着した。




▲12:15 わさび平小屋
わさび平まで来ると、なんとなくこれまでの登山から解放されたような気がした。
飲み物を購入するが値段は250円と山奥の営業小屋の半額程度だな。
まあ、下界と比べるとまだ倍くらいか...




先に到着していたやす氏はまだそうめん待ち状態である。
そんな名物のそうめんを横撮りさせて頂く。
暑い中なので美味さも倍増だろう。



ここからは幅広い林道をやす氏と横並びに歩く。
林道は意外と長く新穂高温泉まで1時間以上かかる。
途中、笠ヶ岳への直登ルート(笠新道)の登山口前を通過する。



まだゴールへ着かないのか...
と、何度かGPSの地図を確認しながら歩いた。
その間、やす氏がeメールをチェックしていた。
烏帽子岳で引き返したS氏からの通知だ。



S氏は3日目の朝一で我々と別れた烏帽子山荘を下山。
下山後温泉に入り、信濃大町から車で沢渡を越えて新穂高温泉へ移動。
我々のゴール地点となる新穂高温泉のロープウェイ乗り場へ到着していた。

そのうち林道付近に建物の屋根が見えてくる。
そして車輛通行止めのゲート前へ到着した。
下界に戻ってきた!



最後はやす氏に先導してもらいロープウェイ乗り場まで歩く。
歩行者専用の橋を渡り切るとそこがちょうどロープウェイ乗り場の建物だった。
いったい此処は何℃あるのか?




▲13:45 新穂高温泉
灼熱のアスファルトを進んでいくと、やけに日焼けしたS氏が現れる。
一先ずこれで一件落着だ。
お疲れさんでした。



新穂高温泉の気温は39℃とのこと...


本来ならここからバスと電車を乗り継いで信濃大町まで戻らなければならなかった。
しかし、S氏が車で迎えに来てくれたお陰でここからは事が早かった。

そのまま直ぐ近くの温泉(ひがくの湯)へ向かい、温泉で旅の疲れを癒す。
冷房の効いた車は快適だ。
混雑が予想されたが、上高地方面へ向かい長野県へ入った。
ゆがくの湯で山賊焼が上手い店が塩尻にあると聞いていた。
ネットで調べながらその店に行ってみた。



塩尻に着いたのは17時頃だったが何℃あるのか?まだまだ暑い。
駅前の駐車場からお店まで歩き、お目当ての山賊焼定食にありついた。
ここの山賊焼は凄いボリュームである。
3日間、山で消費したカロリーを一気に取り戻したという感じ...



18時過ぎには帰路の高速道路を走っていた思う。
途中、北関東道では激しい雷雨となり渋滞にもなったが交代で運転して岩手まで戻ってきた。
AM2時くらいには無事帰宅できた。

久しぶりの北アルプス縦走は疲労と充実の両方で達成した。
S氏の離脱についてはどう捉えられるか?


以下、裏銀座縦走のまとめとする。



信濃大町駅の隣にタクシー会社がある。
どうやら高瀬ダムの登山口まで通行可能なタクシー会社はここともう1社のみの様だ。
ここのタクシー会社は裏の駐車場に車を3日間無料で停めさせてくれるので有難い。
朝も早くから登山者向けに営業している。
下山後に鉄道を利用して此処まで戻って来れるのでベストな選択だろう。

高瀬ダムから烏帽子屋までのブナ立て尾根は急登中の急登。
テン泊装備を担いでここを登るのは大変だった。
烏帽子小屋のテン場は30張と聞いていた。
裏銀座縦走をテン泊する計画なら初日は烏帽子小屋のテン場に幕営するしかない。
連休だったためテン場スペースが無くなってしまうことを懸念し頑張って登ったが意外とテン場は広かった。
水場が無いので小屋に頼るしかない。

烏帽子小屋を起点とした裏銀座縦走路は雄大な景色の中をとても気持ちよく歩くことができた。
縦走中の水補給とトイレについては水晶小屋までの中間地点にある野口五郎小屋が頼りになる。
今回は晴天だったためスムーズに縦走できた。
しかし霧などで視界が悪い時は平坦な野口五郎岳の山頂付近で道迷いに注意が必要かもしれない。

水晶小屋から水晶岳まではザックをデポしてピストンした。
水晶岳の山頂付近は若干岩場で険しい道だが慎重に進めば問題なし。
ただし道が狭いのですれ違いの際は譲り合いなどしながら注意しよう。
水晶岳山頂付近の岩場にはチョウノスケソウが見られ岩手には咲かない花も楽しめた。

水晶小屋の名物である力汁はとても美味かった。
濃い味噌味で餅や竹輪、野菜が入っている。
水晶小屋へ寄った際は是非食べて頂きたい。

三俣山荘のテン場は2回目の利用である。
水場の無い烏帽子小屋・野口五郎小屋・水晶小屋を経由してここまで来ただけに、非常に水が豊富という印象である。
テン場の中にある水場の水は非常に冷たくて美味い。
また幕営脇の雪渓から沢が流れていて何かと冷やすのには最適だった。
冷たすぎたが、ここで足を冷やしたり顔を洗ったりした。
テン場にトイレがないため三俣山荘まで少々歩く必要がある。
テン場利用料は1000円と他よりちょっと高めかなと。

三俣山荘から双六山荘まで今回は2つのピークを経由したが巻道で時間短縮できる。
双六山荘も水が豊富な場所とのこと。
山荘外の蛇口から出る水を頂いた。
双六山荘のテン場の広さについては北アルプスの中ではトップクラスだろう。

双六山荘から新穂高温泉までは小池新道を下った。
これまでの味わってきた北アルプスの雄大なる展望は終わってしまう。
徐々に気温も上昇し疲労感ばかりが蓄積するが、その途中にある鏡平山荘がオアシスであった。
かき氷、生ビール、充実した冷たい飲み物など、頼りになる営業小屋だ。

鏡平山荘から小池新道を下ったが、登りでは使いたくない道だなとつくづく感じた。
(猛暑という中ではあったが)
途中の沢で水を確保したが、ここは水場だとの記載があったので遠慮なく飲んだ。
徐々に登山道の斜度も落ち着いて最後は林道に出る。
新穂高温泉までの林道歩きは予想より長かった。

以上。 では、また山で!

(完)





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